【取材レポ】他人に聞けない便の話
当サイトでも毎月ご紹介している社会医療法人財団 石心会さん主催の健康セミナー「かわさき健康塾」の取材に伺ってきました。今回ご取材したのは、2月16日にさいわい鶴見病院で行われた、看護師さんによる「排便の話」です。
毎日のことながら、男女問わず頭を悩ませる排便。人には聞きづらいことだからこそ気になりますよね。
今回お話してくださったのは、さいわい鶴見病院の看護科長 新島桂奈子さんです。まずは、便を作る「大腸」の話から。
大腸は、食物を分解してガスを発生させる働きの他、水分を吸収する働きも担っています。小腸でほぼ液状であった便は、24〜72時間ほどかけて大腸の中をゆっくりと移動し、腸壁に水分を奪われながら次第にドロドロ状→粥状→半固形→バナナ状の便へと変化していきます。大腸で吸収される水分はなんと1.5Lにもなるそうですよ!
つづいては、健康的な便とは?という多くの方が気になるテーマ。
健康的な便の条件は下記と言われています。
● 茶色である
● バナナ状である
● 排便時にスッキリ出たという自覚がある
「便は茶色以外にあり得ないのでは・・・?」と首をかしげたのですが、細菌感染すると緑色がかった便に、痔や大腸ガン等の出血があれば赤が混ざった便になると言われ合点がいきました。色のチェックも大切ということですね。
そして意外にも、「毎日出ているか」や「便の量」は重要ではない様子。少食の方であれば、もちろん便の量も少ないですし、量が少なければ毎日出ないのも当然のことなのです。
さて便の2大悩みといえば、そう! 「便秘」と「下痢」ですね。私もお腹は決して丈夫とは言えないタチなので、とても興味がありました。
まずは便秘について。便秘は、便量の減少や大腸のぜん動運動がスムーズに行かない場合、大腸の通過に時間がかかり水分が奪われ過ぎて便が硬くなってしまった場合に起こります。
腸のぜん動運動の低下は、加齢による体内の筋肉量低下に由来するため、ウォーキング等の日常的な運動で筋肉量をキープすることは便秘対策にも有効だそうです。
また、便秘の度に自己判断で下剤を大量に服用していると、逆に腸の動きが鈍くなってしまうことがあります。「3錠服用と書いてあるけれど、私の頑固な便秘には10錠位は飲まないと! 」なんて方いらっしゃいませんか?便秘悪化の原因になりますので、くれぐれもご注意を!
他にも、不規則な生活で決まった時間にトイレに行かないことや、20〜30分もトイレにこもることもNGです! 「出そうで出ない」感覚があると、ついトイレに長居しがちですが、実はこれ、便意ではなく直腸が下がってきている感覚。痔の原因にもなりますので、トイレに座ってしばらく経っても出ない場合は諦めて仕切り直しましょう。
ストレスで緊張が続くときも便秘になりやすいそうです。お腹を「の」の字にマッサージしたり、足裏の土踏まずをツボ押しするのも便秘解消におすすめですよ。
さてお次は、2大悩み・その2「下痢」について。下痢は本当に辛いですよね。下痢の原因は、暴飲暴食や冷え、ストレス。感染や中毒が原因の場合もあります。
冷えが原因の下痢なら、腹巻きが効果的です。おへその下辺りを触ってみて他よりもヒンヤリしていたら、体が冷えている証拠。夏でも綿100%の腹巻きをすると下痢の予防になりますよ。
また食物繊維の摂り方もポイントです。食物繊維は快便のためにも是非積極的に摂ってほしい栄養素です。食物繊維は「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、その特徴は次のようになります。
【水溶性食物繊維】
有害物質や不要物質を体外に排出する働きがある。便を柔らかくする。果物、海草類に多く含まれる。
【不溶性食物繊維】
水分を吸収し膨張して、便のカサを増やす働きがある。腸のぜん動運動を促す。野菜(根菜類)、穀物、豆類に多く含まれる。
ただし腸はとてもデリケートな器官です。食物繊維を沢山摂ろうと張り切りすぎて、ワカメの食べ過ぎで消化不良や腸閉塞に、ゴボウを毎日大量摂取してやはり腸閉塞になったというエピソードもあります。どんなものでも食べ過ぎにはご注意ください。
最後に大切なお話を。
もしお腹の調子がいつまで経っても良くならない場合は、大腸ポリープや大腸がん等の病気が隠れていることもあります。心配なときは放置せず、なるべく早く医療機関へ相談することが肝心です。
生きている限りほぼ毎日付き合う便のお話、今回も大変勉強させていただきました。健康にまつわる様々な話題を、医療のプロが分かりやすく教えてくれる「かわさき健康塾」。
気になる方は6月のスケジュールを是非チェックしてみてくださいね。