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ドクターQ&A

重大リスクに備える!「高血圧対策」

日本人に多い高血圧。放っておくと重大な病気につながることも…! 予防や治療について、総合内科専門医の市村先生に伺いました。(2016年秋冬号掲載)

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紀尾井町内科 院長 市村 有紀子(いちむら ゆきこ)先生
東京女子医科大学卒業。同大学附属青山病院、同大学附属成人医学センター、日本テレビ麹町診療所所長を経て現職。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定専門医。

Q:高血圧とはどんな病気なのでしょうか?

A:安静時の血圧が慢性的に高くなる病気です。遺伝や生活習慣によって発症すると言われています。

血圧は、血液の流れが血管の壁に与える圧力のこと。心臓が収縮して血液を送り出した瞬間を最高血圧、心臓が拡張して全身を巡った血液が戻る時を最低血圧とし、どちらか一方でも慢性的に基準値より高い場合を、高血圧と言います。厚生労働省が行った調査では、成人男性の約3人に1人、女性の約4人に1人が発症しており、世界各国と比べて高い割合となっています。

高血圧の主な原因と言われるのが、遺伝や塩分の過剰摂取・肥満などの生活習慣。血圧は加齢に伴って誰でも少しずつ上がるものですが、高血圧の家族が多い人や更年期を迎えた女性は、特に上がりやすい傾向があります。

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Q:高血圧を放っておくとどうなりますか?

A:動脈硬化が進行し、脳卒中・心筋梗塞・慢性腎臓病を引き起こすリスクが高くなります。

高血圧は、いつも血管に負担がかかっている状態。適切な治療をせずに何年も放っておくと、血管が傷んで弾力を失い、動脈硬化を起こしやすくなります。動脈硬化が進行してしまうと、脳卒中・心疾患・慢性腎臓病などの重大な病気につながりかねません。

高血圧は自覚症状がないため、全く気付いていない人や知りながら放置している人も多くいますが、早めの対策が肝心です。家庭で習慣的に血圧を測って普段の状態を把握し、高めの場合は医療機関を受診しましょう。血圧はちょっとしたことで一時的に変動するため、最低でも2週間、朝晩同じ時間に測った数値が目安となります。

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Q:高血圧の治療と効果的な予防方法は?

A:生活習慣の改善と薬物療法が治療の基本。減塩や減量は、高血圧の予防にも効果的です。

減塩や減量といった生活習慣の改善から始め、必要に応じて薬物療法で血圧をコントロールし、血管への負担を減らします。患者さんの年齢・血管の状態・持病(腎臓病や糖尿病など)の有無によって適切な薬や血圧の数値は異なるため、医師の指示に従いましょう。自己判断による薬の増減や中断は危険です。

生活習慣の改善は、高血圧を予防したい人にも効果があると言われています。塩分を控えた栄養バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。喫煙・飲酒・睡眠不足・ストレス・入浴時などの急激な温度差・水分不足も血圧を上げる原因となるので、注意が必要です。

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投稿日:2017年3月10日 | カテゴリー:読みもの