【取材レポ】カメラのはなし
皆さんこんにちは。初夏の気持ちのよい陽気が続きますね。いかがお過ごしでしょうか?今回は、さいわい鶴見健康塾でのセミナー「カメラのはなし」についてレポートいたします。
さて、「カメラ」とはどんなカメラのことでしょうか?お話してくださったのは、さいわい鶴見病院でも内視鏡検査を行っている、川崎幸病院 消化器内科副部長の藤原裕之先生です。
医療のカメラといえば、そう! 「内視鏡」のことですね。
内視鏡の歴史は、1950年代に登場したガストロカメラというカメラがはじまりです。1970年代にはファイバースコープ、1990年代にはビデオスコープが登場。内視鏡のデジタル化が進んだことで、小さながんも見つかりやすくなりました。
最初は撮影するだけだった内視鏡ですが、今では診断や摘出といった処置まで可能となり、技術の進歩には目を見張るものがあります。
こぼれ話ですが、昔は内視鏡もフィルムで管理されていたそうです。撮影→現像→診断→台帳保管、と現場の先生たちの苦労が伺えますね。
さて、消化器系がんの代表である「胃がん」や「大腸がん」の場合、初期は症状がなく進行してからようやく症状が出てくるという特徴があります。
【胃がんや大腸がんの症状】
●腹痛、腹部不快感
●吐き気、食欲不信
●体重減少
●下痢、便秘、便が細くなる
これらの症状が出たときには、すでに進行している可能性が高いのです!!
一般的にがんの進行具合(浸潤の深さ)によって、治療方法は変わります。
1)がんの根が浅い:内視鏡治療
2)がんの根が中度:手術
3)がんの根が深い:化学治療
早期の発見であれば、内視鏡による治療で済む場合も多く、早期発見・早期治療のためには、毎年の検診が大切ということになりますね。
実際、近年の胃がんの死亡率が低下したのは、検診の発達が理由のひとつとも言われています。
続いて見せていただいたのは、実際に行われていた内視鏡治療の画像の数々です。がん以外の施術例もご紹介しています。
まずは、錠剤を包装ごと飲み込んでしまった事例です。こういった誤飲事故が意外と多いそうですよ。皆様くれぐれもお気をつけて! このときは、内視鏡で無事摘出することができました。
魚に寄生する虫「アニサキス」による食中毒です。こちらの患者さんは我慢できない程の痛みで受診されたそう。前の晩に召し上がったお刺身が原因でした。アニサキスは糸ミミズのような虫で、画像では昼食で食べた素麺に混じって少し見えづらいのですが。。。こちらも内視鏡でつかみ取り、無事摘出完了です。
こちらの方は出血性胃潰瘍でした。昔は開腹手術でしか治療する術はありませんでしたが、現在は胃壁の出血箇所に栓をして止血するという凄技を披露してくれます。このような処置も内視鏡だけで行っているのですね!
続いては早期胃がんの内視鏡手術について。7〜8年前にESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という新しい治療法が行われるようになりました。胃の一番内側の層にとどまっている早期がんを、内視鏡だけで剥離切除する方法です。手術時間は1時間程、入院は5日間と、がんの摘出手術の中でも身体に負担をかけずに行うことができます。
胃がんの原因となるピロリ菌は、70代の方で約80%、40代の方で約20%が感染していると言われており、感染→慢性胃炎→萎縮性胃炎→胃がんと進行する場合があります。
逆にポリープでも問題のないポリープもあるので、胃がんに進行する可能性があるかどうかを一度調べておくことも大切。ピロリ菌感染やポリープの良性悪性についても内視鏡で診断することが可能です。
ところで内視鏡には大きく分けて2つのタイプがあるのをご存知ですか?鼻から入れる経鼻内視鏡と口から入れる経口内視鏡です。現状、藤原先生のお薦めは経口内視鏡とのことでした。
その理由は、カメラの大きさにあります。細い管で苦痛が少ないとされる経鼻内視鏡ですが、ハイビジョンの経口内視鏡と比べると、レンズが小さく画像も若干劣るそう。検査のために入れる内視鏡ですから、より鮮明な画像で調べてもらう方が結局は安心ですよね。
最近では、鎮静剤を点滴しながら半分眠った状態で検査できる医療機関も増えています。検査が苦痛という方は気軽に相談してみるのも良いでしょう。
ちなみに、藤原先生の検査では、希望の方には鎮静剤使用での検査を行っています。「我慢大会ではないので、少しでも楽に検査を受けてください」とのことでした。
辛いイメージのあった内視鏡ですが、今回のお話で、より身近に心強い検査と治療を行える方法であることが分かりました。胃の検査をしばらくされていない方、不安がある方、是非一度ご相談されてはいかがでしょうか?
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