知らないと怖い!!「熱中症対策」
年齢とともに、熱中症のリスクが上がるのをご存知ですか? 安心して夏を乗り切るために知っておきたい熱中症対策について、内科医の安成先生に伺いました。(WEBオリジナル記事)
自由が丘メディカルプラザ 院長 安成 英輔(やすなり えいすけ)先生
岩手医科大学医学部卒業、順天堂大学医学部附属順天堂医院代謝内分泌内科非常勤助教、日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医。
Q:熱中症とはどういったものなのでしょうか?
A:暑い環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調整が働かなくなるために起こる障害です。
熱中症の症状には、めまい・頭痛・吐き気だけでなく、意識障害や死亡といった重篤なケースもあるため、初期の段階で手当をすることが重要です。熱中症による救急搬送者は年間約4万人にのぼり、その多くは7月から9月にかけて集中しています。急な暑さで体温調整が追いつかなくなる梅雨明け頃は、特に注意してください。
また、搬送者の過半数を65歳以上が占めています。基礎代謝の低下で発汗機能が弱く、身体の熱を上手く逃せないことや、喉の渇きを自覚しにくいことなどが原因でしょう。室内・屋外を問わず、熱中症への注意を怠らないことが大切です。
Q:どうすれば熱中症を予防できますか?
A:こまめな水分補給を習慣にし、適度な運動やバランスの良い食事で暑さに強い体をつくりましょう。
常温のコップ1杯の水かお茶を、起床後・入浴前後・就寝前などに飲む習慣をつけましょう。喉の渇きを覚える前に意識して水分補給することが大切です。屋外で活動する時や猛暑日には、さらに摂取回数を増やしてください。夏バテで食事があまり摂れない時は、スポーツドリンクや経口補水液もおすすめです。
また、本格的な夏が来る前に、適度な運動で暑さに強い体づくりをしておきましょう。運動で血液量を増やし、筋力を高めて心臓に血液が戻りやすい状態にしておくことで、体温調節機能が向上します。さらに、バランスの良い食事で体力をつけることも、熱中症予防につながるでしょう。
Q:持病がある場合に、注意すべきポイントは?
A:高血圧や糖尿病の人はスポーツドリンクの飲み過ぎに注意。心臓病の人は水分を摂り過ぎないようにしましょう。
熱中症の予防法として重要な水分補給ですが、持病のある人は注意が必要です。まず、高血圧や糖尿病の人はスポーツドリンクを飲み過ぎないようにしましょう。スポーツドリンクには塩分や糖分が多く含まれているため、基本的に水かお茶での水分補給をおすすめします。
また、心臓に持病のある人は、水分を過剰に摂取すると心臓に負担がかかり、心不全の原因になる場合があります。これらの持病がある人は、水分の摂り方を含めた夏の過ごし方について、かかりつけ医にアドバイスをもらっておくと良いでしょう。