【取材レポ】ストレスと過敏性腸症候群
皆さん、こんにちは。
暑い日が続きますが、体調を崩されてはいませんか?
いつもご紹介している『かわさき健康塾』の、8/1開催「ストレスと過敏性腸症候群」講座。個人的にとても気になる病気だったので、さっそく拝聴してまいりました。今回はその内容をレポートさせていただきます。ご講演くださったのは、川崎幸クリニック 心療内科医師の天野雄一先生です。
穏やかな語り口に、ユーモアを交えながらの分かりやすいお話。ついつい引き込まれ、あっという間の45分でした。
ところで皆さん、心療内科と精神科の違いをご存知ですか?
じつは、心療内科は名前に「内科」と付くように、もともとは身体の調子を診る科目。ストレスが原因で症状が身体に出るような病気を「心身症」と呼ぶのですが、この「心身症」を取り扱うのが心療内科です。一方の精神科は、「心」の病気を診る科目です。鬱病をはじめ不眠やイライラ、幻覚、幻聴、妄想などは精神科を受診しましょう。もちろん、どの科を受診すれば分からないときは、どちらに相談に行っても問題ありません。適切な診療科へ誘導してもらいましょう。
さて、ストレスが原因の心身症のひとつに「過敏性腸症候群(IBS)」という病気があります。腸に器質的な問題がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感、下痢、便秘が長期間繰り返し起こる病気です。急な腹痛や下痢にいつ襲われるか心配で、中には日常生活に支障をきたしてしまう人もいるそう。日本では1200万人、ゆうに人口の12.5%の人が過敏性腸症候群患者であるといわれる程、ありふれた病気です。
チェックリスト〜こんな人は過敏性腸症候群の疑いあり〜
□ いつも腹痛や腹部不快感がある
□ いつ下痢になるか常に心配である
□ 急な腹痛や下痢でトイレに駆け込むことが多い
□ 便秘と下痢が交互に起こる
□ いつも便秘気味である
この過敏性腸症候群には3つのタイプがあるそうです。
【下痢型】
泥状、水様の便が多いタイプ
【便秘型】
硬い便やコロコロした便が多いタイプ
【混合型】
泥状便や水様便になったり、硬い便やコロコロ便になったりするタイプ
インターネット調査では、過敏性腸症候群は若年層に多く、男性では下痢型、女性では便秘型が多い傾向にあるそうです。年代別の人口から割り出されたパーセンテージのため、人口の多い50〜60代ではパーセンテージは低いものの、実際の患者数はこちらも相当な人数になるとのお話でした。男性に多いイメージでしたが、意外にも女性も多いと聞き驚きです。
過敏性腸症候群の治療としては、薬はもちろんなのですが、薬だけに頼ろうとせず、食事、生活習慣、心理療法といった薬以外のケアが大切になってくるとのこと。具体的には・・・
【食事】
規則正しい三度の食事を心がけて。パンや麺はお腹が張りやすいため、主食はご飯がおすすめです。アルコールや大量のコーヒー摂取は症状を悪化させるので控えましょう。
【生活習慣】
運動と睡眠をしっかりと。運動は週3回30分程度の有酸素運動をおすすめしています。禁煙に努めましょう。
【心理療法】
まずは自分のストレスに気づき、ストレスを遠ざけたり、受け止め方を変えるなどの工夫をしてみましょう。客観的に自分を見つめる「マインドフルネス」というコントロール方法もあります。良く笑い、人に援助を求めるなど、ストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
過敏性腸症候群という病気は、「薬を飲めばすぐに治る」といった種類の病気ではありません。いきなり完治を目指すのではなく、症状が出ないよう上手に付き合っていくことが大切とのお話でした。
身近にありながらも、病気と気づきにくい疾患「過敏性腸症候群」。「もしかして?」と思ったなら、早めに医療機関に相談されることが大切です。ご本人だけでなく、ご家族の様子も気に掛け、受診を勧めてあげると良いのではないでしょうか?
今回の「かわさき健康塾」も大盛況でした。病気や健康について専門家から貴重なお話が無料で聴けるセミナーに、ぜひ皆さんも足を運んでみてください。
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●川崎幸病院ホームページ http://saiwaihp.jp/