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ドクターQ&A

くり返さないための「腰痛予防」

老若男女を問わず、多くの人が悩まされる腰痛。その改善と予防について、専門医の伊藤先生と、娘さんで同じく専門医の蔵本先生にお話を伺いました。(2015年秋号掲載)

伊藤邦成先生 蔵本理枝子先生

いとう整形外科 院長 伊藤 邦成(いとう くになり)先生
東京医科大学卒業。東京警察病院出身。日本整形外科学会認定専門医。世田谷区医師会整形外科医会会長。

いとう整形外科 副院長 蔵本 理枝子(くらもと りえこ)先生
北里大学医学部卒業。日本整形外科学会認定専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医。

Q:腰痛はどうして起こるのでしょうか?

A:腰は常に上半身に圧迫されている状態。同じ姿勢を続けると血行不良になり、腰痛が起こります。

下図のように、脊椎(背骨)は横から見るとゆるやかなS字カーブになっています。このカーブが私たちの身体のバランスを絶妙に保つ役割をしているのですが、重力があるため一番下の腰は常に上半身の重さが掛かり、圧迫されています。これは二足歩行する人間の宿命と言えますね。その結果、同じ姿勢を続けると血行が悪くなり、栄養が行き届かなくなって組織が壊れ、腰痛が起こります。

さらに、悪い姿勢で重いものを持ったり前かがみの作業を続けると、軽い腰痛が椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などに進行する場合もあります。また、骨粗しょう症にも注意が必要です。

Q:腰痛の改善方法について教えてください。

A:良い姿勢を保つこと、身体を動かすことが腰痛の改善につながります。

腰椎は反っているため、後ろ側が圧迫されて血行不良になり、痛みが出ます。猫背や反り腰などの悪い姿勢は圧迫をさらに強めてしまいますので、常に良い姿勢を心がけ、圧迫を減らすことが大切です。

また、血行不良は動かすことで改善できます。しばらく頬杖をついた時に起こる手首の痛みが、動かしているうちに治るのと同じですね。腰痛の場合は、圧迫されている腰の後ろ側を座ったまま伸ばす動きが基本です。寝ている時も膝を抱えるような姿勢が良いでしょう。

症状がひどい時は、薬や神経ブロック注射などもあります。かかりつけの医療機関で相談してください。

腰痛 チェックリスト

Q:具体的に日常生活でできることは?

A:同じ姿勢を続けないこと、正しいストレッチ、良い姿勢を心がけましょう。

大相撲の力士は出番を待つ間同じ姿勢を続けているため、土俵に上がった時に仕切り直しを繰り返し、腰の血行不良を解消します。このように同じ姿勢が続く時は、しゃがんで前かがみになるストレッチがベストでしょう。椅子に座ったままお辞儀をするストレッチや、10〜15センチくらいの台に片足を乗せたり脚を交互に組む動作も効果的です。

「脚を組むと骨盤が歪んで腰に悪い」という誤った情報が世間に広まっていますが、よく脚を組む人でも解剖学的に歪むことありませんので安心してください。骨盤の歪みも腰の痛みも、悪い姿勢が大きな原因です。良い姿勢を心がけ、健康と若さをキープしましょう。

投稿日:2016年6月7日 | カテゴリー:読みもの