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ドクターQ&A

放っておくと危ない!?「歯周病」

歯周病は歯の健康だけでなく、全身の様々な病気にも密接な関わりがあることをご存知ですか!? 予防歯科がご専門の本間先生に、詳しくお聞きしました。(2015年春号掲載)

本間敏道先生

本間 敏道(ほんま としみち)先生
歯学博士・介護支援専門員 東京医科歯科大学大学院卒業後、予防歯科に注力した荻窪デンタルクリニックを開院。2014年6月より同院顧問。現在は、杉並区歯科保健医療センターほか複数病院にてフィールドを広げて活躍。専門は予防歯科、口腔ケア、口臭、摂食嚥下障害、訪問診療。

Q:歯周病とはどんな病気なのでしょうか?

A:歯周病菌が引き起こす、歯肉の炎症です。中高年以降の人の発症が圧倒的に多く、生活習慣病の1つとされています。

歯みがきで出血する、歯肉が赤く腫れてむずがゆい、口臭が出てきた…そんな経験はありませんか? 歯周病は歯と歯肉の間で増殖した菌が引き起こす歯肉の炎症で、既に40代の時点で約80%の方が発症していると言われ、年齢を重ねるほどに増える傾向があります。歯周病の主な原因は、歯と歯肉の間にたまった汚れ(歯垢)。口の中が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなるため、唾液量の減少や日常的な薬の服用などによって口の中の乾燥が気になる方が多い50〜60代にとっては、虫歯と同様とても身近な歯科疾患と言えますね。

Q:歯周病を放っておくとどうなりますか?

A:最悪の場合、歯を失ってしまいます。さらに、全身の様々な病気にも影響を及ぼす場合があります。

歯周病は、自覚症状が出た時にはかなり進行しているため完治が難しく、最悪の場合は歯を失ってしまう可能性があります。さらに怖いのが、血液にのった歯周病菌が全身を巡り、様々な全身疾患にも影響をもたらす場合があること。心疾患など重大な病気にも関わってきますが、最も関係が深いのが「糖尿病」と「メタボ」。歯周病菌の毒素がインスリンの働きを妨げて糖尿病を悪化させたり、肝臓と脂肪組織に脂肪を沈着させてしまうのです。これらの病気は歯周病を改善することで治療成功率が上がると実証されていますので、歯周病の治療を並行して行うことをおすすめします。

歯周病が影響をもたらす深刻な病気

Q:歯周病の治療と効果的な予防方法は?

A:歯垢や歯石の除去を行います。再発しやすいので、かかりつけの歯科を持ってケアしましょう。

進行している場合は手術の可能性もありますが、治療の基本は歯垢や歯石の除去、かみ合わせの調整です。歯周病は再発しやすいため、治療後のしっかりした予防が重要になってきます。何にも勝る予防方法は「セルフケア」と「歯科医・歯科衛生士によるプロケア」の2本柱です。かかりつけの歯科医・歯科衛生士を持ち、セルフケアの指導や、自分では除去できない歯垢や歯石の定期的なクリーニングを受けましょう。プロケアを定期的に受けている方で、歯科疾患が悪化したという方は今までお会いしたことがありません! 是非、かかりつけ歯科をご活用いただきたいですね。

投稿日:2016年5月19日 | カテゴリー:読みもの